2泊したクエンカを出発。次の区切りは,エクアドルの出口であるマカラ。
そして今日は,しばらく前からずっとおそれていた日。
グーグルマップで見ると,105km先のオーニャまでホテルがない。
105kmなんてただでさえ長いのに,アンデスの山道ときている。
登り1700m,下り2000m。本当に走りきれるだろうか。

雨がぱらつく中,ホテルを出る。
クエンカの街中は坂もなくスムーズに脱出。
街を出ると,めずらしくそれほど坂の無い,平地とも言える道が25km続いた。
こんな道は,エクアドルに入って初めてだ。
これまで800km近く走ってきたけど,平地は10分の1もないだろう。
そんな幸せな時間は長く続かず,小さな町を過ぎたら登りが始まった。
曇りなので特に見るべき景色はない。

何もねえなあ〜,と思いながら走っていると,急にきれいな家が出てくる。
エクアドルあるあるだ。これのまわり,本当に何もない。

途中で地図にない町が出てきた。ごはんを食べようかと思うけどまだ11時なのでパス。

その後もどんどん登っていき,寒いぐらいに気温が下がる。
そこでちょうど,チーズ工房のレストランを発見。

エクアドルでおなじみ,「セコ・デ・ポヨ」
豚肉バージョンの「セコ・デ・セルド」もあって,どっちも肉が少ねえ!
その分,米が異様に多く,ものすごく安い(220円)
お腹いっぱいになって,再び出発。

気がつくと,標高3000mをこえていた。

実際は3085m。時計は120mの差があるんだな。

昼をすぎたのに,オーニャまで56km。まだ半分も来てない。
この辺りから下りが始まった。

いい感じにアップダウンを繰り返す。
一気に下るよりいい。アップダウンは大好きだ。

下りの途中で,町が見えてきた。あれはまだオーニャじゃないな,と余裕の自撮り。
いやしかし,さすがはアンデス山脈,どこまでも山が続いていますな。
下りメインで余裕で進んでいると,最後の最後で強烈な登りが出てきた。
もう少し,あと6kmぐらいで着くのに,300mも登らせるなよ!
すでに100kmも走ってきて疲れてるのに!
そして走り出してから8時間半,ようやくオーニャまでたどり着いた。
ホテルの看板にしたがって進むと,写真で見たとおり高そうなホテル。
中に人はおらず,電話して呼ばなきゃいけないみたいだ。面倒だなあ。
道行く人に,「他にホテルはある?」と聞くと,町の中心にあると教えてくれた。
地図にのってなかったけどあるんだ!喜んで町の中心へ・・100m登っていった。
おいおい,ここが1番しんどかったよ。

中心に着くと,いい感じの公園。これは,ホテルの1軒ぐらいあるでしょう。
近くの店で「このあたりにホテルある?」と聞くと,「ない」と返ってきた。
え
さっきの人あるって言ってたじゃん。
あるはずだ。近くをぐるぐる探し回るも,見つからない。
あー,もうやだ,疲れた。
もう今日は消防署に泊まろう!

スペイン語で消防署は「bomberos(ボンベロス)」
この奥のスペースなら誰にもめいわくをかけないだろう。

荷物をおいて,「こんにちは!」と言うが,ここには誰もいない。
まあ,無断でも大丈夫でしょう。
ごはんを食べて戻って来ると,ちょうど消防署に入ろうとしている人が!

ここが消防署。
「自転車で旅してるんだけど,駐車場にテント張っていい?」
「だったらこの中でいいよ,自由に使って」
あっさりOK。当たり前のように中に入れてくれた。

久々のテント泊で,初めての消防署泊。
中には消火器や筋トレマシーンがある。とりあえず写真をとろう。


多分お願いすればWifiも使えそうな感じだけど,もう寝るだけだからえんりょした。
トイレがあるだけで本当にありがたい。
いやあ,寝床探しにはちょいと苦労したけど,山の105km,何とかなった。
ホテル代がゼロになったことを喜びつつ,やることがないので8時半には寝てしまった。
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