コスタリカ編 幻鳥発見ロスケツァレス2〜1300→2700〜

さあ,今日は勝負の日だ。

 

この曲がりくねった山道を,ほぼずっと登りで50km。

標高は,1300m→2600mまで上げる予定だ。

 

 

これまでじっくり登ってきた高さを,今日1日で登る。

そう,わかっていれば,覚悟ができる。

覚悟ができていれば,たいていのことは乗り切れる。

 

 

 

朝9時に出発。50kmといえど,ずっと登り。100km走るよりきついかもしれない。

あの山を越えるのか・・・。

 

 

カルタゴの気温は25度ぐらい。

しかし,2600mまで登ると,長そでを着ないと寒いぐらいになるだろう。

日が沈むまでには,宿に着かなくてはならない。

 

 

 

カルタゴを出てしばらくすると,登りが始まった。

時計を見ると,ちょうど1300m,数えやすくていいじゃないか。

 

そこからは,ひたすら登り。

100m登っただけで,カルタゴの町があんなに小さくなってしまった。

 

 

 

 

中米では,ロードバイクをほとんど見なかったけど,この山では多くのサイクリストを出会った。

当然,数十キロの荷物をのせた自分が一番遅い。

 

 

 

一度の下りも平地もないまま,1600mまで登った。

いくらすずしくても,登っていれば全身から汗がふき出る。

助かるのは,山の途中にも時々,店や小さな集落があること。

コーラやゲータレードを買って休みながら,少しずつ登る。

 

 

 

 

 

 

 

きつくて長い坂でも,ゆっくり登っていけば大丈夫。

これまでの経験を信じて,無理をしないようにがんばって登る。

 

 

 

 

一体,何の動物が出てくるのだろう,バクかな?

 

白黒の牛って,久しぶりに見たな。

やっぱり牛といったらこれだよね。

 

 

 

うわー,やっぱり高いところからの景色はいいなあ。

 

 

周りに意識を散らしながら,少しずつ,少しずつ登って行く。

 

 

1800m。この辺りで初めて,少しだけ下った。

でもそれからまた2200mまではずっと登り。

 

 

ああ,本当に時間がかかる。

もうこの高さになると,自転車で走っている人に会わなくなる。

 

 

 

 

 

もう午後2時,出発から5時間かかって,やっと30kmだ。

そろそろ,1000m登ったことになる。

 

 

気温が低くなり,汗が急激に体を冷やす。

2ヶ月ぶりに長そでを着て,さらに登る。

 

 

地図を見ると,だいぶ進んできた。

高さは2300〜2400mあたりを登ったり下ったりでうろうろしているけど,もう少しだ。

 

 

 

 

そんな高さにも村はあり,人が生活している。

右が教会で,左が学校。子どもは何人ぐらいいるのだろう。

 

 

 

 

 

あともう少し。

そう思ってしまってから,脚が動かなくなってきた。

 

もう1000m以上登ってきている。

いくらゆっくり登っていても,体力はじりじり削られていた。

そこに空気のうすさと気温の低さが加わって,一気にしんどくなる。

 

 

地図を見なければよかった・・・

 

脚の動きはどんどんにぶくなり,そのうちつり始めた。

 

 

そして午後5時。

左手に,「ケツァールロッジ」の看板が見えてきた。

ケツァール見学ツアーを受け付けている場所だ。

今日泊まる宿は,ここからあと少し!

 

 

 

 

 

 

そのあと少しが・・・長い。

 

 

 

 

数百メートルだと思ったが,実際は2km離れていた。

しかもこれまでで一番急な坂。

もう,目的地は見えているのに,どうしても脚が動かない。

仕方なく自転車をおり,最後の300mは押して歩いた。

エネルギー切れだ。今日ぐらいは,昼ごはんを食べた方が良かったかもな。

 

 

 

 

そして2680m,森の中にある「イヨク・アミ・ホステル」に着いた。

ここが自分の限界だ,もう少しも進めそうにない。

 

 

 

入るなり,犬にわんわんほえられる。その声を聞いて,オーナーが出てきた。

フレンドリーなオーナーと自己紹介をし合う。

 

 

「予約してたフミヒコだよ。20ドルだっけ?」

「お金は後でいいよ。部屋に案内するから,とりあえず休んで」

 

 

英語を話せるオーナーはとても親切で,体を気づかってくれた。

そんなにしんどそうに見えたかな。見えただろうな。

 

 

 

 

 

 

部屋で1時間もぐらい休んでから,広間にお金を払いに行くと,

 

「カードは使える?」

「いや,現金だけなんだ」

 

 

 

やばい。

泊まるだけの現金は持っているけど,ぴったりしかない。

夜と朝のごはんは別料金だ。

 

そのことを伝えると,

 

「大丈夫,心配しなくていいよ,ぼくも自転車が好きだからね」

 

 

それから彼は,宿代や食事代のことは一切言わなかった。

 

 

夕食の時間になると,そうするのが当然のように,焼いたサケとご飯,野菜が出てきた。

 

 

「お代わりもあるから,好きなだけ食べてね」

 

 

本当にタダでいいの?という言葉が出そうになるが,飲み込む。

ここでそれを言うのは,無粋のような気がした。

気づかいや施しには,笑顔と感謝,食べ物であれば「おいしい!」を返せばそれで十分なのだ。

 

ああ,久しぶりにおなかも心もいっぱいになった。

 

 

 

標高2600mの夜は,日本の真冬なみに寒かった。

荷物の中から寝袋をひっぱりだし,そこに部屋の毛布を2枚かけて,ようやく暖かくなる。

 

 

 

明日は,朝早く起きてケツァールツアーに参加して,午後はあと600m登る。

そうすれば,あとは40kmずーっと下って,次の町へ行けるはずだ。

 

 

 

とりあえず,1日1300m,この旅の最高記録更新だ。

よくがんばったね,おつかれ様。

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